ボディ構造を知ることで安全性も見えてくる

2019年10月28日更新

一口に車といっても、コンパクトカー、セダン、SUV、ミニバン、スポーツの他に軽自動車があります。
また、大型トラックやバスなども同じ車の仲間になりますが、そのボディ構造は実はかなり違っているのです。


SUVのボディ構造はどういったものを使っているのか?
この質問に対して的確に答えられる方はかなりのマニアですね^ ^

実は、最近のSUVのボディ構造はモノコックとラダーフレームそして、その両方のイイところを取ったビルトインラダーフレームモノコックと3種類も存在しているんです。

と言うことで今回は、ボディ構造について詳しく解説したいと思います。


モノコック構造とラダーフレーム構造の違い

まずはモノコックとラダーフレームの違いから見て行きましょう。

①モノコック構造

モノコック構造は、乗用車の主流と言え、軽自動車からコンパクトカーにビックセダンやミニバンそしてスーパーカーまで幅広いモデルで使われており、別名フレームレスボディと呼ばれ明確に骨である部分がなく、2枚貝の構造のように殻を合わせて強度出しているという特徴があります。

まぁ、モノコックボディの形状を見てもらえば中と外の2枚殻の構造なのはよく分かると思います。(マニアじゃないと分からないか^^;)


②ラダーフレーム構造

大型トラックやダンプカー、そしてSUVのハードクロカン四駆で主に使われているのがラダーフレーム構造です。

ラダーフレーム構造には、梯子形状のフレーム骨格がありそれが骨組みで、梯子型ラダーによる頑丈な構造からハードに酷使される大型トラックやダンプ、RVと呼ばれていたハードクロカン四駆(今ではオシャレにSUVと呼ばれていますね)に使われており、現在では一般的な車輌にはあまり使われていません。


フレームの歴史

ラダーフレームの起源は、車誕生の頃まで遡ることになります。

ちなみに、世界初の車のエンジンは、なんと蒸気が原動力のもの。
馬車に蒸気釜が載ったものでした。
当時の乗り物である馬車を転用したのでしょう。


世界初のモノコックボディは1922年登場のランチア・ラムダです。
国産車では、1958年登場の軽自動車の大ヒット作となったスバル・360でした。
それ以前の車の構造はラダーフレームとなっています。

クラウンやセドリック・グロリアなどの大型セダンには1990年頃までラダーフレームが採用されていましたが、クジラクラウンと不人気車だった9代目クラウンからモノコックボディに転向。

モノコックボディの車体硬性が昔は期待したほど得られなかったので、大型セダンには強度で信頼性があるラダーフレームがかなり遅くまで使われていたのが分かりますね。


同じ軽SUVでも大きく違う構造

かつてブームになった、軽SUVのスズキ・ジムニーや三菱・パジェロミニそしてダイハツ・テリオスキッドがありました。
法改正の煽りから三菱・パジェロミニそしてダイハツ・テリオスキッドはすでにモデル終了。
一時期3社から販売されていてブームとなった軽SUV。

実は3つのモデルでそれぞれ車体構造が違っています。

ジムニーは、初代から踏襲されているラダーフレームです。
パジェロミニは、ラダーフレームとモノコックフレームの中間のビルトインラダーフレーム。
このビルトインラダーフレームは後に本家パジェロにも採用されました。
スタイル優先のファッショナブルSUVのテリオスキッドはモノコックボディ。

同じSUVなのに、考え方はまったく違う3つのモデルというわけです。


パジェロミニは、ジムニーに次ぐハードクロカン四駆ですが、過酷なオフロード走行はやはりラダーフレームのジムニーが得意でした。
しかし、一般道や高速での乗り心地はパジェロミニの方が良い評価になっていますね。

ファッション重視のテリオスキッドは、4WDモデルはあるもののハードな走行には不向きな生活四駆+α程度の性能でしたので、コアなファンは少な目。
デフロックスイッチくらいはどうやら付いていたようです。
テリオスキッドでハードなオフロード走行を目指す方はあまりいないのが現状でしょう。

しかし、テリオスキッドにはジムニーやパジェロミニにはない4ドアボディだったのが大きな違いでした。


現行ジムニーは、ラダーフレームを頑なに使用する軽ナンバーワンのハードクロカン4WDです。
競技コースなど通常では考えられないほどのハードなコースでも、決して根を上げることなく走破するのは、上級クラスのランクルプラドかそれ以上の走りを見せてくれます。

やはり、その走りを支えているのはタフなラダーフレームの恩恵にほかなりません。


スズキの同じSUVのハスラーはワゴンR派生車種なのでモノコックボディです。
ハスラーにも4WDが用意されていますが、それはワゴンRと同じ生活四駆。
林道や泥道などの悪路走破はそれなりにこなしますが、ジムニーに比べタイヤ経が小さいのとパートタイム式4WDでないのでロックされておらずタイヤの空転が目立ちます。

ファッショナブルSUVなので、本気で攻めるとかなり物足りないものがあるのは致し方ないことでしょう。

と、ここまで話が大きくそれてしまったので、元に戻しましょう。


ビルトインラダーフレームの採用車

ハードクロカン四駆の双璧は、ランクルとパジェロでしょう。
そのパジェロは近年、軽量化のためにモノコックフレームとラダーフレームのイイとこ取りをしたビルトインラダーフレームが採用されています。

ラダーフレームは、モコックフレームよりも頑丈なのですがその分重量も重く、乗り心地もモノコックフレームに比べ固いので高速での長距離移動ではどうも好ましくありません。

そんなラダーフレームの悪いところを補うのがビルトインラダーフレームという事です。


パジェロでは、1999年に登場した3代目からビルトインラダーフレームが採用されました。

前モデルのラダーフレーム仕様と比べると実に車重で100kgもの軽量化を実現。
ボディ硬性は、曲げ・捩り剛性で前モデルの3倍以上の数値を達成し、ラダーフレーム以上の性能を獲得したことをアピールしています。
4代目パジェロにもビルトインラダーフレームを踏襲しています。

パジェロのほかに、ビルトインラダーフレームを採用しているモデルはスズキ・エスクード、ダイハツ・ビーゴとそのOEM車のトヨタ・ラッシュなど。
あまり声高にビルトインラダーフレームと宣伝していなかったので、それほど世間では知られていないかもしれません。


モノコック構造のメリットとデメリット

ボディーとフレーム(ラダー)を一体化したものがモノコック構造です。

卵の殻をイメージした構造で硬性と軽量化に大きく貢献しています。
卵の殻一枚では薄くて強度もそれほどありませんが、それを組み合わせることによって所定の強度を得られるように考えられたものなのです。

前述したようにモノコック構造のメリットは、軽量と高い硬性、そして広い空間と安全性。
ラダーがないので、車内の床の高さを自由に設計出来るため乗り降りしやすく低い床が実現可能になっています。

また、ラダーフレームに比べ乗り心地がとても良く、追突された時は、エネルギーの吸収が良いので安全性も高くなっています。


反対にラダーフレームのデメリットとしては、

①事故などで追突されるとボディーが歪むため硬性が大幅に下がってしまう。(反面安全性は高い)

あまりにも衝撃の大きな事故に遭うとボディも変形してしまい真っ直ぐに走らない車になることもあります。
そんな時は、フレーム修正機にかけて修理するのですが、完全に治り切らないこともあるのは痛いですね。

ボディ修正した車は、事故車(修復歴車)として扱われるので中古でも格安で手に入れられるかもしれませんが、きちんと修理されていないと安物買いの銭失いになる可能性は高いので注意しましょう。


②エンジンやサスペンションなどが直接付いているためNVHを低く抑えるのが難しい。

ちなみにNVHとは、騒音・振動・ハーシュネスのことで、車の快適指数を表すものになります。
ハーシュネルスは、路面の凸凹による突き上げ感やボディーからの異音「ガタピシ」のことです。

新車の頃は路面の凸凹を走っても音もしなかったのに、走行距離が進むと車体がヘタってきて異音がすることもあるんですね。
コンパクトカーやファミリーカーでは、走行距離が10万キロにも達すると結構なガタピシ音がします。

かなり昔のモデルのことなので、最近のコンパクトカーやファミリーカーはかなりボディ硬性が良くなって来ており昔ほどのガタピシ音も気にならないかもしれません。


潰れることにより衝撃を吸収するモノコック構造

①の追突で、ボディが歪むのは安全対策の一部となっているため、これはどうしようもないことかもしれません。
構造的にわざと硬性の弱い部分を造り、そこで衝撃を吸収する仕組み「クラッシャブルゾーン」となっているのです。
セダンならボンネットやトランク部分の一部がこれにあたります。

それに対して乗員が乗り込むキャビン(運転席・助手席・後席)は、硬性が高くなっており、トヨタのGOAや、マツダのスカイアクティブボディ、ダイハツのTAF、スズキのTECTなど、車輌カタログを開けば必ず軽量・高硬性をアピールしているページがありますので、車両選びの際に参考になさってみて下さい。


モノコックとラダーフレーム安全性が高いのは?

モノコック構造は、弱い部分があってそこが潰れる仕組みでした。
それではラダーフレームではどうでしょう。

ラダーフレームは、硬性があって頑丈な代わりに衝撃を受けるとそれが全体に伝わってしまいます。
そのことから、乗車している人にも衝撃が伝わってしまうということ。

このことからも現在の自動車の開発技術で、より安全性が高いのはモノコック構造と言えるでしょう。


軽量・高硬性の確保がしやすく、乗員のいるキャビンの安全性が確保しやすいのでモノコック構造が乗用車の主流になっていますが、いくらモノコック構造が軽量・高硬性といっても頑丈さではラダーフレームにはかないません。
ですので、頑丈さが求められる大型トラックやダンプカーやハードクロカン四駆(トヨタのランクル)などにはラダーフレームが今でも使用されているのです。

大型トラックやダンプカーは約100万Km走行まで使用されます。
その前に、荷台が腐食でダメになったら荷台を載せ替えたりキャビン(運転席)が同じくダメになっても載せ替えて使用されることになるのです。
ラダーフレームだから出来る使われ方と言えるでしょう。


フレーム構造が使われるのはSUV車や軍用車

いまや乗用車のほとんどがモノコック構造を採用。
タフさが求められるSUVでさえビルトインラダーフレームが多くなってきています。

しかし、ラダーフレームが頑丈であることやボディ載せ替えが可能なことから、先ほどのトラックなどと同じように過酷な使用条件の中で使われるSUV車や軍用車には今なおラダーフレーム構造が使われ続けています。快適性や安全性よりも高硬性が取られているわけです。
ラダーフレーム構造のSUVは、国産車ではトヨタのランクル・FJクルーザーやスズキ・ジムニーで輸入車ではメルセデスベンツ・GクラスやJEEPです。

メルセデスのGクラスは、もともと軍用車(NATO軍で正式採用)のものを民間用にアレンジしたもの。
耐久性や走破性はまさにズバ抜けたものになっています。

アメリカ軍では、ハマー。
日本の自衛隊では和性ハマーの異名のメガクルーザーがそうです。
戦争の過酷な状況での使用に耐えられる頑丈なモデルに仕上がっているのがよく分かります。


バスに使われるスケルトン構造とは?

大型トラックなどと同じように見られる大型バスですが、そのボディ構造はラダーフレーム・モノコックとバス独自のスケルトン構造と3つの構造があります。

ラダーフレーム構造は、かなり昔のボンネットバスの頃には主流でしたが、現在ではマイクロバスのみの採用。

バスのボディ構造

モノコック構造は、元々が航空機に使われていたボディ構造です。
ですから、バスにモノコック構造?と思われた方も多かったかもしれませんね。
戦前は、ゼロ戦などの戦闘機を製造していた中島飛行機は戦後解体され後の富士重工業になりました。
その富士重工業が航空機の技術で製造したのがモノコックボディのバスになります。


戦後、バス構造の主流となりましたが、モノコック構造は強度確保のため丸みを帯びたスタイルと乗降ドアを小さくするデザイン上の制約が多いことから、スケルトン構造のバスが登場すると次第に減って行く事になります。
そう言えば、昔のバスは丸みを帯びたボディーが多かったですね。

スケルトン構造はマルチチューブラーフレームとも言われ、ビルトインフレームのためラダーフレームのようにボディを載せ替えることは出来ません。
鳥かご(バードケージ)のようなもので、感じとしては前述したビルトインラダーフレームのようなものと思って下さい。
モノコック構造に比べ、設計の自由度が大きく窓も乗降口も大きく取れるのが良いところです。

国産車では、1977年に日野が日野RS(現在の日野レインジャー)に採用して、瞬く間にモノコックボディのバスを駆逐していきました。
現在のバスのボディ構造は、ほぼスケルトン構造になっています。


一般車のボディ構造は安全性重視が基本

ボディ構造は、その車の特性や用途に応じて決められ、何を優先とするかで自ずとどの構造を使うべきなのかが決まってきます。

査定バカたちが普段乗るような一般的な車両の場合の多くがモノコック構造を採用していますので、耐久性よりも安全性やスペースを重視しているのが理解できると思います。

ただ、現在のモノコック構造は100万キロなどは耐えられないですが、10万キロや20万キロ程度であれば耐えることが出来ますので、昔のように耐久性自体を私たちが気にする必要性はないと言えるでしょう。

今後も新たなボディ構造が開発され、より剛性があり安全性が高く耐久性も高いものが出てくる可能性もありますので、今後に期待したいですね。

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